更年期障害に効く3つの漢方薬の副作用と正しい飲み方について

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更年期障害症状に効果がある3つの漢方薬を知っていますか?しかも、婦人科で処方される漢方薬の70%近くがこの3つで占められています。

あなたが更年期障害症状に悩まされているなら漢方薬で改善する可能性があります。

漢方薬には普通の薬と違う特徴があるために、この違いを理解して使用することがとても大切になります。少しだけボリュームがありますが、最後まで読むことで理解度がグッとアップしますよ。

漢方薬は更年期女性に向いている

先生

漢方薬は更年期女性にオススメなのです

女性は生理周期によって女性ホルモンの変動により体調が揺らぎやすいです。

更年期は閉経を迎えることもあって、この女性ホルモンの変動はもちろんですが、女性ホルモンの激減を味わうので自覚症状が多岐にわたります。

更年期に入ったかどうかは、血液検査をして卵胞刺激ホルモンの数値を見て判断します。

もし、数値的には問題ないレベルだとすると、私たち医師は内心「困ったな」と感じています。もちろん他の病気の可能性も探しますが、検査をしても異常はないために「う〜ん」となってしまうのです。

検査をしても異常は無いが、本人は症状を感じている。

西洋医学の視点で診るとこの状態は病気ではないため「処方するものは無い」となってしまうのです。

この西洋医学では病気ではないと診断されて、治療できない状態を漢方医学では「未病」と呼びます。

病名がつかなくてもカラダに不調を感じているなら、放っておくと将来病気になると考えて治療対象になります。

この考え方は、未病状態が多い更年期症状には最適です。

考え方が根本的に違う漢方医学と西洋医学

先生

漢方医学と西洋医学は考え方が根本的に違います。

最大の違いは、病気やカラダの捉え方にあります。

薬1つをとってもその違いが顕著に出ています。西洋医学の薬では1つの症状に対して1つの薬を処方するため、症状が増えれば薬の種類も増えていきます。

一方、漢方医学の薬は1つの薬にいろんな成分が入っているため、症状が増えても1つの薬で対処することもできます。

西洋医学の特徴

科学的な根拠に基づいた医療です。さまざまな検査によって病気を見つけて、治療方法を決定します。

病気のある器官を特定して、その器官をピンポイントで治療して行きます。その治療方法は医学的なエビデンスを重視して決めれます。

また、西洋医学の薬は精製されたほぼ単一の有効成分で作られています。西洋医学はこれまでカラダを解剖して、組織や微生物を顕微鏡で観察して数値化することで病気の原因を明らかにしてきました。

臓器ごとに細かく分けて病気を診ます。検査値の数値が異常ならば病気。異常が見つからなければ病気では無いと考えられます。

健康診断の細かい数値はまさにこの考え方に沿っています。西洋医学の強みは、はっきりと病名がつくような病気の治療が得意なことです。

しかし、はっきり病名がわからなかったり、検査結果に異常がないようなときは手詰まりになりがちです。

これに対して漢方医学は正反対と言える特徴を持っています。

漢方医学の特徴

西洋医学のように臓器別に捉えて診断するのではなく、カラダとココロは一つとして捉えます。

心の問題によって体調不良が起こる場合もあるし、反対に体調の問題によって心に不調が起こる場合もあると考えて診ます。

ホルモン・自律神経・心・精神・感情などの生体機能バランスが崩れることによって、いろいろな不調が現れることがあると考えて全体のバランスが崩れていないかを診ることを大切にしています。

2000年の歴史である先人たちの治療経験を集めた経験的な治療と言えます。また、研究する期間が長いことから、薬の効果や副作用に関して十分な時間を費やすことができていると言えます。

漢方薬は生薬を使います。

生薬とは、植物の花・葉・実・種・根・皮。動物や鉱物などのうち薬効のあるものです。

生姜やみかん・シナモン・お茶・桃・杏の種など料理に使うようなモノも多いです。

メインは植物が多いです。

漢方薬はこのいろいろな種類の生薬(天然の鉱物、動植物)を一定の割合で配合しているものになります。

つまり薬と違ってたくさんの成分が入っているのでいろんな症状に効果が出やすいです。

そのため、漢方薬は更年期症状を沢山感じている人に特にオススメできます。

たくさんの症状が出る更年期に対して、西洋医学の薬では、1症状に対して1薬ですのでどうしても薬の量が多くなります。しかし、漢方薬だと少ない量で済みます。

「実証」「虚証」「中間証」という「ものさし」

患者

一体どうやって薬を決めているのですか?

先ほども言いましたが、漢方医学は症状に合わせて薬を出すのではなく、その人の体質に合わせて処方します。

その人の体質に合わせてというのがポイントで、その人の体質やカラダの状態を「証」と言います。

「証」とは症状と体質が合わさった考え方です。「実証」「中間証」「虚証」の3つがあります。

まず、この3つのどれに当てはまるのか?を診ています。

実証(カラダに必要なものが満ちている状態です。)

実証の人の特徴

  • カラダが本来持っているエネルギーが高い →元気がある。疲れにくい
  • 栄養が足りている → 顔色が良い
  • 体温が高い → 寒さに強い
  • 胃腸が強い → たくさん食べれる。食べ過ぎても平気
  • 暑がりで体格の良い、がっちりタイプの人に多い傾向があります。

虚証(カラダに必要なものが不足してる状態です。)

  • カラダが本来持っているエネルギーが低い → 元気がない・疲れやすい
  • 栄養が足りていない → 顔色が悪い
  • 体温が低い → 冷えている
  • 胃腸が弱い → たくさん食べれない
  • 寒さに弱い、やせ型の人に多い傾向があります。

中間証(文字通り、実証と虚証の間の証です。)

実証とも虚証とも言えない症状(間ぐらいの症状)が出たり、2つが入り交じった症状が出たりします。

これらの「証」はその人の体質に大きく影響を受けますが、年齢とともに変化して行きます。そして、その時の体調によっても変化します。

ですから、ずっと同じ「証」で固定されるわけではありません。基本的に老化すると実証→虚証へ自然と移行していきます。

「現状の体質はどちらに傾いているか?」と証をはっきりさせてから「どのような症状が出ているか?」を診ています。そして処方薬を決めていきます。

更年期に効く漢方薬トップ3

先生

多くの婦人科の病院で処方される3つの漢方薬です。

①加味逍遙散(かみしょうようさん)(虚証)

血の巡りを良くする生薬に、頭を冷やす生薬などいろいろな働きのある生薬が含まれています。胃が弱く、あまりカラダが強く無い人や、精神的に波が大きく、頭がのぼせる人に向いています。

②桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)(実証)

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肩こりや頭痛に効きます。血の巡りを良くする生薬、月経を調整する生薬、水をさばく生薬、精神を穏やかにする生薬も少し入っています。

血の流れが悪くなっているのを改善する代表的な漢方薬です。ホットフラッシュにもよく用いられます。

③当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)(虚証)

生薬になっている当帰とは、セリ科の植物の根で、漢方エキス製剤の約1/3に使われています。血の巡りを良くする効果があります。

血を補って、カラダの余分な水分を排出してカラダを温める効果があります。

更年期症状に出される処方薬の中でこの3つで50〜70%を占めるほど代表的な3つです。

この他にも、女神散(実証)や桃核承気湯(実証)も更年期に効果を発揮してくれます。

*これはあくまで一例で漢方薬も相性があるので一概には言えません。

漢方薬の相性知る方法

漢方薬には特有の味、特有の香りがあります。「この味と香りを美味しく感じるか?」これだけでその薬が自分に合っているかどうかが分かります。

一見ウソみたいな話ですが、自分にあった薬だと最初は抵抗感あっても、飲み続けていると美味しく感じてくる人が多いです。

もちろん、医師にしっかり診てもらって処方してもらうことが肝要ですが、試してみて合わない場合は一度相談して下さいね。

漢方薬の副作用

患者

漢方薬って副作用ありません・・よね?

自然の生薬からできていることもあって副作用がないと思われてる人も意外に多いです。

しかし、西洋医学の薬に比べて副作用の影響が少なかったり、影響がマイルドな場合が多いだけで、副作用はあります。

副作用の症状は人によって様々で、食欲不振や胸のムカつきなど軽いものから、取り方によっては高血圧などを引き起こす場合もあります。

ただし、漢方薬には2000年と言われる先人達の経験があります。これだけ長い間使われてきていることが大きな安心感を生んでいるのは事実です。

いずれにせよ、自分に合わないと思った場合はすぐ医師に相談する必要があります。

自己判断で買わない

市販の漢方薬に書かれている症状があるからといって、安易に買うことはオススメできません。一般の人がどの漢方薬を飲めばいいのか判断するのは意外と難しいものです。

ベストは医師の診察を受けて、薬を処方してもらうことです。市販薬を買う場合も必ず薬剤師さんに相談して買って下さい。

漢方薬は本来、症状に合わせて薬を出すのではなく、その人の体質に合わせて処方します。この症状に有効なのは、あくまで薬の成分の話で、あなたに効果があるかどうかはまた別の話です。

市販薬を試したけれど、あまり効果がなかった人も婦人科などで処方してもらう漢方薬を飲めば効果が出る人もいますよ。

漢方薬に効果的な飲み方

先生

漢方薬は西洋医学の薬と違う飲み方があります。

漢方薬の名前は全て漢字なので取っつきにくいかも知れませんが、名前の最後の文字に注目して下さい。

「〇〇湯」「〇〇散」「〇〇丸」となってるのがわかると思います。

名前には意味があって、それぞれ効果的な飲み方が違います。せっかく飲むのですから、効果を最大限にして飲みたいですよね。

湯剤「〇〇湯」

刻んだ生薬を組み合わせたものを、30から60分間ぐつぐつ煮て作られています。

煮出して成分を抽出するもので、煎じ薬のことです。基本的にこの煎じ薬は暖かい状態で飲むのが好ましいです。

一般的に有名なものは「葛根湯」でしょうか。

散剤「〇〇散」

生薬を粉末にして、混ぜ合わせたものです。すぐに服用が可能で即効性も期待できるのが強みです。

飲むのは簡単で煎じる手間もいりませんが、薬の量が多くなるので一度に服用するのが困難になる場合もあり得ます。

一般的に有名なものは「太田胃散」でしょうか。

丸剤「〇〇丸」

生薬を粉末にして混ぜ、蜂蜜などを加えて丸く固めたものです。錠剤とは似ていますが、違います。本当に真ん丸です。

薬効が穏やかで持続性もあります。他の剤形よりも長期保存ができるのが強みです。
お湯や水で飲むのが好ましいです。

一般的に有名なものは「正露丸」でしょうか。

漢方エキス剤

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現在、医療用として最も多く使われている漢方薬はエキス剤になります。エキス剤とは、生薬を煎じた液からエキス成分を抽出し製剤化したものです。

グツグツと煎じる手間がなく、飲むのも簡単で携帯にも便利です。しかも、長期保存することができます。

まさに現代の漢方薬の形です。それまでの漢方薬には作るときに大きなハードルがありました。

生薬は天然物なので、天候や育つ場所によって成分が常に一定ではありません。農薬の残留も問題視されていました。

また、保管も温度と湿度の管理が大変でした。

漢方薬はいくつかの生薬を組み合わせて、それを煎じて服用しますが、煎じる時の湯量、温度などの条件によって、生薬から抽出される成分が変わってしまう問題もありました。

これらを問題を解決する方法としてエキス剤が誕生しました。

工場で一定の条件を元に生薬を煮出したり、加熱したりして成分を抽出して粉末状にしたものです。

これによって、生薬の品質が安定して、安全性も確保でき、保存も楽な漢方薬が多くの人に届けられるようになりました。

エキス剤の飲み方

エキス剤でも名前に「〇〇湯」と入っているなら、100〜120ml位のお湯に溶かして飲むのが効果的です。電子レンジでチンしても大丈夫です。設定温度は60度がオススメです。

エキス剤は粉末にする際に、乳糖が使われています。この乳糖が底に沈みやすいので、お湯に溶かしたときにエキス剤が底に沈んでしまっている場合があります。

薬の成分が含まれているのでかき混ぜて必ず飲んで下さいね。

冷やして飲む

例外的パターンですが、冷やして飲むことが良い場合もあります。例えば、吐き気が強い時などは温かいものは吐き気が出やすいので、冷やした方がいいです。

冷やす場合は、手間ですがエキス剤は溶けにくいので事前にお湯で溶かしてから冷やして下さい。

漢方薬は食前、食間に飲む

西洋医学の薬は食後に飲むものが比較的多いです。これは消化器科系の負荷を減らすためです。

一方漢方薬は、消化器科系の副作用が出ないように生薬が組み合わされているので、水の成分がよく吸収されるように空腹時、あるいは食間に飲むのが良いです。

ただし例外があります。「地黄」や「麻黄」の生薬が含まれているときは消化器系の副作用が出ることがあるので注意が必要です。もともと消化器科系が弱い人は食後に飲むのが良いです。

番外編:お酒で飲む

お湯の代わりに温めた少量の日本酒で飲む方法があります。例えば、アンチエイジング効果のある八味地黄丸や、冷えに効く桂枝茯苓丸、婦人科系の病気に処方される当帰芍薬散などはこの方法が使えます。

お酒で飲んでもいい理由は、アルコールが生薬の油脂成分を溶かし込んで吸収率を上げる、アルコールの働きで胃腸のもたれが防げるからと考えられています。

*個人差がありますし、お酒に弱い人はお酒で飲む必要性は全くありませんのでご安心を。

まとめ

漢方薬とは「どのようなもの」なのか理解できましたか?

「まだ、よくわからないかも」と思った人は、ぜひもう一度読み直してみて下さい。

一度読んだ文章は、2回・3回と回数を重ねるごとに短い時間で読めるようになりますし、あなた自身の理解度が治療の効果に大きな影響を与えます。

西洋医学と漢方医学どちらが優れている・どちらが良いということではなくどちらの力も利用することが治療の近道なのです。

【監修】西田医師

昭和59年徳島大学医学部卒業
東京医科歯科大学産婦人科、都立病院等に勤務
平成7年9月、横浜市都筑区にて西田ファミリークリニック開業
平成30年3月閉院
日本産婦人科学会専門医、日本更年期学会会員
専門:内分泌(思春期・成人の卵巣機能不全、不妊症、更年期)

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